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カルキ抜きについて

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カルキ抜きについて

水槽を初めて立ち上げるときや水槽の水替え(2週間に一度などともいわれています)
をするとき、水道水から水を用意します。

水道水は、塩素系の消毒剤を含んでいますので、そのまま、水槽の水としては、使えません。
水道水からこの消毒剤を抜くためには、いろいろな方法がありますが、
よく使われるのが、カルキ抜き剤です。

水道水の塩素系消毒剤としては、次亜塩素酸のナトリウム塩などがよくつかわれています。
これを除去するのが、カルキ抜きで、チオ硫酸ナトリウムという試薬が主体となっているものです。

今回、測定したのは、即効性として市販されているカルキ抜き2種で、さらには、重金属も除去
する効果があるものです。

重金属の除去には、おそらく、何らかのキレート剤が含まれているのであろうと考えられます。

測定法

  1. バケツに水道水10Lを測りいれます。
  2. pH計とORP計で、10分間、測定します。データはPCに10秒間隔で取り込みます(自社開発ソフトにて)。
  3. 測定開始10分後、カルキ抜きを添加します。
  4. 約1時間、連続測定し、データを保存します。これを3回繰り返します。

測定結果

1.予備測定

水道水のpHとORPを測定してみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【測定条件】
バケツの水道水10Lを1時間測定。
測定開始時間 2018/07/12:14:15:09
測定間隔 10秒

ほぼ安定するまでに10分必要でした。水温は、26℃でほぼ、一定であるので、温度影響ではない
と考えられます。
水道水は緩衝能が少ないためと考えられます。

特にORPについては、約600mVとかなり高い値を示しました。塩素消毒の影響かも
しれません。
水道水においては、酸化還元平衡としては、溶存酸素の酸化還元平衡が存在
するくらいなので、安定に少し時間がかかるのかもしれません。

2.カルキ抜き添加前後の水道水の測定

上記、予備測定の結果から、10Lの水道水を10分測定後、カルキ抜きを標準量(メーカー指定量)
添加し、水質の変化を測定しました。

(1)使用したカルキ抜き
A社製 B社製
カルキ抜きの種類 即効性 即効性
特徴 重金属も除去 重金属も除去
用法 水10Lに1~2mL 水2Lに1mL

(2)測定条件

・バケツに10Lの水道水を測り入れ、約10分間pHとORPを測定する。
・その後、カルキ抜きを上記の条件で投入し、攪拌後、pHとORPを測定する。
・上記操作を3回繰り返す。

(3)使用装置

・H社製 pHメータ
・H社製 pHセンサ
・H社製 ORPセンサ
・PC、自社作成データ取り込みソフト

2-1 A社カルキ抜き測定結果

 

 

 

 

測定開始時間 1回目 2018/07/17 15:27:18
2回目 2018/07/18 13:15:33
3回目 2018/07/18 15:15:40
測定間隔 10秒

【結果考察】
測定開始後約10分にカルキ抜きを添加すると1分後(測定開始後11分)に
pH・ORPともに急激な変化があります。pHは、元の水道水のpH(=約7.2)に戻り、
約10分で安定します。ORPも約10分で安定しますが、指示値は、約300mVで、
水道水の約600mVの半分の値で安定しました。
カルキ抜きを添加後、約1分間の急激な変化はハイポ添加によって残留塩素が
除去される反応によるものでしょうか?
それとも、添加するときに水を攪拌せずに添加し、添加後攪拌したので、
局所的にpHが下がったということも考えられます。
これについては、確認のための測定を行いました。
また、ORPが水道水測定時の600mVから300mVまで下がって安定するということは、
水道水の酸化還元平衡が変わったということを意味します。
水道水中に存在する残留塩素は殺菌力が強い、すなわち、酸化力が強いという
ことを意味するので、水道水は高いORP値を示すと考えられます。
カルキ抜きにより残留塩素が除去されると酸化力の少ない水となるので、
低いORP値となるのではと推測できます。
ORPについては、カルキ抜き添加後のほうが、明らかに、値は安定します。
過剰のチオ硫酸ナトリウムによる酸化還元平衡が強いためでしょうか?
あるいは、重金属除去のため混合されている、キレート剤によるものとも考えられます。

2-2 B社カルキ抜き測定結果

 

 

 

 

【結果考察】

A社製のカルキ抜きを測定した場合とほぼ、同様の結果が得られました。
カルキ抜き投入後、約1分間での特異な現象はこの試薬でも現れました。

ORPにおいては、ピークは見づらいですが、その傾向は認められます。
カルキ抜き投入後、値が安定するのも同様です。

これらのことより、カルキ抜き自体の反応は数十秒と早いと言われていますが、
水として安定するには1時間程度要すると言えます。

pH測定結果だけでなくORP測定結果も踏まえると、一般的に、カルキ抜き後、
数時間水を寝かせておいたほうがよいと言われていることへの裏付けとなる
ものと考えられます。

上記に示した結果より、ORP値を測定することで、残留塩素の除去度合いを見る
重要な指標になるのでは?
と考えられます。

 

2-3 A社カルキ抜き測定結果その2

2-1、2-2で、カルキ抜きを添加後、約1分でpHが約0.2ほど急にさがった現象の
確認のために、水道水を攪拌しながら測定を開始し、約10分後、カルキ抜きを添加
して測定してみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上図のように、攪拌しながら、カルキ抜きを添加すると、急激にpHが下がる現象はありませんでした。
すなわち、攪拌ぜずにカルキ抜きを添加すると局所的なpH変化が起こるということが言えます。
このpH変化が原液のpHによって起こるものか、カルキ抜きを添加したときの反応によって
起こるものかを確認するために、カルキ抜きの原液のpHとORPを測定してみました。

メーカー 原液のpH 原液のORP(mV)
A社 8.41 36
B社 8.48 18

原液のpHは、2種ともpH8.4と弱酸性でした。これは、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)
に由来する値と考えられます。
原液のpHによって起こる現象であるならば、pH値は高くなるはずです。
が、pH値は低くなっているので、ハイポが、塩素系消毒剤を除去するときの
反応によって起こるものと考えられます。このときに、微量の強酸が発生します
(化学的な考察の項を参照ください)。
測定時に水道水を攪拌していると、この反応は小さなものであるので、
攪拌によって、すぐ、水道水全体に拡散し、打ち消されるため、計測できなかった
ものと考えられます。逆に攪拌しなければ、局所的に起こった反応を計測できた
ものと考えられます。

これらの結果により、水道水から、水槽に使用する水を作るために、カルキ抜き
を添加するときは、バケツなどであらかじめ水を調整してよく攪拌し、一時間
程度待ってから、使用するのがよいのではと考えます。
特に水替えのときは、水槽の水にカルキ抜きを直接、添加しないほうがよいかと
考えます

化学反応的な考察

少し難しくなりますが、化学反応的に考えてみました。

次の図は、水道水を消毒するためによく使用される、次亜塩素酸の電離度とpH
の関係を表します。

次亜塩素酸の電離度とpH

 

 

HCLO⇆ClO-の解離平衡とpHの関係から、水道水のpHは7.2付近でしたので
やや、HClO分子の存在が多いほうによってます(pH7.5で1:1で存在します)。すなわち、すこし殺菌
作用のある状態と言えます。

全国の水道水のORPを測定した結果も公表されていますが、やはり、500mV~600mV
であるところがほとんどです。名水と呼ばれる水のORP測定値は、100~300mV
となっており、この高い値は、塩素系消毒剤の影響と考えられます。
ORP測定によって、飲料水としてうまいかどうかを示す指標として使用されているようです。

カルキ抜き(チオ硫酸ナトリウム)を添加してすぐに、pHが0.1ほど下がるのは、
次の反応で、HClOやClO-イオンがCl-イオンに還元されます。
この時に微量の酸が生成されることによると考えられます。

4HClO+Na2S2O3+H2O→2NaCl+2H2SO4+2HCl

微量の塩酸が発生します。それと過剰に添加されたチオ硫酸ナトリウムは、
還元剤として溶存酸素も食って硫酸塩となります。
これらによって、瞬時的にpHが下がると考えられます。
pH値が下がってすぐ戻るのは生じた酸が強酸性で微量であるのと、キレート剤とか混入されていたら
金属イオンが少ないときにH+と錯体化するのではと考えられます。
また、酸性に行きすぎるのを防ぐためにpH緩衝性を少し持たしているとか?が考えられますが、
生成する酸が強酸でしかも微量なので、瞬時的に下がるが、すぐに、
周囲によって元に戻るというのが大きいとも考えられるのが妥当でしょう。
この辺りは、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)のみでの測定で確認できると思います。

ORPがカルキ抜き後、約600mV付近から溶存酸素のORP値に近い300mV付近で安定するのは、
水道水中のHCLO⇆ClO-の解離平衡や溶存酸素の解離平衡では、不安定であるところに、
カルキ抜きを添加することで、NaCL・H2SO4・HCLといった強電解質が生成され、
これが、指示塩的な作用をして、電気化学的に測定しやすい状態となり、値も安定してくるのでは?
というようにも考えられます。

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